【LLCコンバータ】LLCコンバータの双方向動作について

皆さんお疲れ様です。今日はLLCコンバーターを勉強する記事の第11回目です。

本記事はLLCコンバータの双方向動作について解説します。

LLCコンバーターは2次側をスイッチング素子にすることで双方向動作をすることが出来ます。

LLCってどうやって双方向動作するの?

という方の悩みを解決できればうれしいです。それではやっていましょう。

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まず普通のLLCコンバータの動作説明

LLCコンバータは、スイッチング周波数を可変することで出力電圧を調整します。

フルブリッジ構成のLLCコンバータでは、特定のスイッチング手順により共振回路に±Vinの電圧を印加し、これが二次側に伝えられて電圧の変換が可能となります。

フルブリッジLLCコンバータ

特定のスイッチング手順はとても単純で

  1. Q1とQ4をONする
  2. Q1とQ4をOFFする
  3. Q2とQ3をONする
  4. Q2とQ3をOFFする

これを繰り返します。これで2次側に電流を持っていきます。

詳しい動作原理については以下記事を参照ください。

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1次側から2次側への電力伝送における出力電圧特性は右肩下がりの共振カーブが現れます。

LLCコンバータのVout VS fswの特性の一例

入力のmin/max条件で所望の出力が得られるか?を判断する設計上の重要な要素となります。

LLCコンバータの双方向動作の説明

さきほどのフルブリッジ構成の二次側ダイオードをスイッチング素子に変更することで双方向動作が出来ます。

双方向フルブリッジLLCコンバータ

1次側→2次側への伝送のときはQ5~Q8を常にOFFしておけば、同じ動きが出来きますね。

2次側→1次側への伝送のときは逆にQ1~Q4を常にOFFし、

  1. Q5とQ8をONする
  2. Q5とQ8をOFFする
  3. Q6とQ7をONする
  4. Q6とQ7をOFFする

とスイッチングさせることで、1次側へ電力を送ることが出来ます。

2次側から1次側への電力伝送時には異なる共振カーブが現れます。

2次側→1次側動作の時の共振曲線(Vout_primary:1次側出力電圧)

共振周波数frでピークを持ちながら徐々に出力電圧が変動します。この特性により、出力電圧の調整が難しくなることが考えられます。

具体的な双方向時の使い方として、共振周波数frのみでスイッチングを活用し、巻き線比に応じた出力電圧を一次側に伝送する手法が挙げられます。

次に実際の回路を構築し、動作を解説します。

実際に回路で動きを見てみる。

とりあえずでこんな回路を準備しました↓。

検証用のフルブリッジLLCコンバータ

ちなみに以下のスペックです。

パラメータ
入力電圧100V
共振周波数fr100kHz
負荷抵抗10Ω
出力容量1mF
励磁インダクタンスLm600uH
漏れインダクタンスLr100uH
共振コンデンサ25nF
巻き線比 n1:n21:1

巻き線比が1:1なので、1次側の100Vをそのまま二次側伝送するって感じです。

まずは普通に動かす

Q1~Q4をスイッチングさせます。共振周波数の100kHzでスイッチングさせます。

いい感じです。

ちゃんと出力電圧は1:1の巻き線比で入力電圧とほぼ同じ100Vが出力されています。

双方向動作させる

1次側のスイッチング素子を止めて、2次側のQ5~8をfrの100kHzで動かします。

電源を2次側へ負荷を1次側へ交換しました。

動かすと

93Vくらいが出力しています。まぁ大体100Vがそのまま伝送されてますね。

この状態で少しスイッチング周波数を遅くするとどうなるか見てみます。fsw=90kHzだと以下のようになります。

出力電圧が下がってます。

1次側ではfr以下だと出力が上がりますが、2次側は下がります。さっき言ってたことが確認できました。

というところで本記事は終わります。何かの参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!!!