【電源回路】フルブリッジ型LLCコンバータの動作原理

みなさま、お疲れ様です。フルブリッジ型LLCコンバータを勉強しようという記事の第一回目です。

本記事ではフルブリッジ型LLCコンバータの動作原理を解説してみようと思います。

フルブリッジ型LLCコンバータの動作がわからない!!!

という方の参考になれば幸いです。

では、始めます。

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事前知識

回路構成

フルブリッジ型LLCコンバータの回路図が以下です。

Crが共振コンデンサ、Lrが漏れインダクタンス、Lmが励磁インダクタンスです。

フルブリッジ型LLCコンバータ

こちら↓の非対称ハーフブリッジ型と比べると1次側スイッチが増えて、共振回路の下側がQ3,Q4の間に入っていってます。

非対称ハーフブリッジ型LLCコンバータ

ちなみに非対称ハーフブリッジ型LLCコンバータの動作原理はこちらの記事で解説しております。こっちがわかっていたらフルブリッジ型の理解も速いので、分からない方はこちらも読んでみて下さい。

フルブリッジLLCコンバータはDUTY制御ではなく周波数制御

非共振コンバータをやっていた人は「コンバータはDutyを制御して出力電圧or電流を一定にしている。」と理解しているかと思いますが、共振型コンバータはDutyを固定して動かします

LLCコンバータはDuty=50%固定でスイッチング周波数を制御して出力電圧or電流を一定にしています

例えば非共振降圧コンバータだと、出力電圧の特性はこう↓Dutyによって決まりますが、

非共振コンバータの出力電圧特性

LLCコンバータだと出力電圧特性はこう↓スイッチング周波数fswによって決まります。

LLCコンバータの出力電圧特性

そして周波数は上図のfm~frの間で動かします。

なので、入出力電圧関係式もfswが入ってきますし、制御ループの設計のときに考える伝達関数もΔDutyによるVoutの変化量Gdvではなくて、ΔfswによるVoutの変化量Gfvを考えます。

入出力電圧関係式

一応、回路図

フルブリッジ型LLCコンバータの出力電圧は以下の式で計算されます。

$$\small{
V_{out}=V_{in}\frac{1}{\sqrt{\left(1+\frac{1}{S}-\frac{1}{SF^2}\right)^2+Q^2\left(F-\frac{1}{F}\right)^2}}
\\
S=\frac{L_m}{L_r},F=\frac{f}{f_r},f_r=\frac{1}{2\pi\sqrt{L_rC_r}},Q=\frac{\sqrt{\frac{L_r}{C_r}}}{R_L’},R_L’=\frac{8}{\pi^2}\left(\frac{N_1}{N_2}\right)R_L
}$$

Vout:出力電圧[V], Vin:入力電圧[V], Lm:励磁インダクタンス[H], Lr:漏れインダクタンス[H],Cr:共振コンデンサ[F], f:スイッチング周波数[Hz], fr:Lr&Cr共振周波数[Hz], N1:1次巻き線, N2:2次巻き線, RL:負荷抵抗[Ω]

ここで見て欲しいのは非対称ハーフブリッジ型の計算方法です。非対称ハーフブリッジ型LLCコンバータの出力電圧は以下の式で計算されます。

$$\small{
V_{out}=\frac{1}{2}V_{in}\frac{1}{\sqrt{\left(1+\frac{1}{S}-\frac{1}{SF^2}\right)^2+Q^2\left(F-\frac{1}{F}\right)^2}}
\\
S=\frac{L_m}{L_r},F=\frac{f}{f_r},f_r=\frac{1}{2\pi\sqrt{L_rC_r}},Q=\frac{\sqrt{\frac{L_r}{C_r}}}{R_L’},R_L’=\frac{8}{\pi^2}\left(\frac{N_1}{N_2}\right)R_L
}$$

フルブリッジ型LLCコンバータの出力電圧は非対称ハーフブリッジ型の単純に2倍になるだけです。

各モードの動作

ざっくり動き方

一応、回路図

基本的には以下のルールで動きます。

  • Q1とQ4がセットで同時にONする。
  • Q2とQ3がセットで同時にONする。
  • Dutyは50%
  • Q1とQ2は絶対に同時にONしない。(貫通するからね)
  • Q3とQ4は絶対に同時にONしない。(貫通するからね)
  • スイッチング周波数fswはfm<fsw<frで動作する。

モードとしては4つに分かれます。

タイミングチャート
  1. Q1とQ4がONして共振電流と負荷電流が流れる
  2. frの共振周波数で流れてた電流が終了して励磁電流のみ流れる
  3. Q2とQ3がONして共振電流と負荷電流が流れる
  4. frの共振周波数で流れてた電流が終了して励磁電流のみ流れる

あと繰り返しです。

では、各モードでどのように電流が流れるのか?を解説します。

モード1:Q1&Q4がON Cr,Lrに共振電流と負荷電流が流れる

以下のタイミングチャートの黄色領域です。

タイミングチャート

Q1&Q4がONして共振回路に電流ICrが流れます。二次側にはD3&D6がONして負荷電流が流れます。この負荷電流を1次側に換算した電流がCrとLrの周波数で共振し、励磁電流はCr,Lr,Lmの周波数で共振します。

共振回路にはVinの電圧がかかります。

モード1の電流経路

二次側の負荷電流が0Aになったら、1次側のCr,Lr共振電流も無くなり、励磁電流だけになります。

そうなるとモード2になります。

モード2:共振電流終了、励磁電流のみ流れる

以下のタイミングチャートの青色領域です。

タイミングチャート

1次側は励磁電流のみになった状態がモード2です。ICrはCr,Lr,Lmで決まる周波数で共振した電流が流れます。

2次側はダイオードはOFFしている状態です。

モード2の電流経路

Cr,Lrの共振周波数とCr,Lr,Lmの共振周波数が異なるので、共振電流Icrがfr->fmに代わってぐちゃっとなっています。

Q2&Q3スイッチがONしてモード3へ移行します。

モード3:Q2&Q3がON Cr,Lrに共振電流と負荷電流が流れる

以下のタイミングチャートの赤色領域です。モード1の逆バージョン。

タイミングチャート

Q2&Q3スイッチがONして共振電流がさきほどとは逆方向に流れます。それに伴い、2次側はD5&D4がONし負荷電流が流れます。

共振回路には-Vinの電圧がかかります。

モード3の電流経路

モード1と同様に負荷電流が0Aとなったら、モード4へ移行します。

モード4:共振電流終了、励磁電流のみ流れる

以下のタイミングチャートの緑色領域です。モード2と同様で励磁電流のみが流れている状態です。

タイミングチャート

1次側は励磁電流のみ流れます。励磁電流はCr,Lr,Lmで決まる周波数で共振した電流ですね。

負荷電流が流れていないので、2次側はダイオードはOFFしている状態です。

モード4の電流経路

Q1&Q4スイッチがONしてモード1へ戻ります。

以上がフルブリッジ型LLCコンバータの動作の解説です。

こうしてみると共振回路にかかる電圧が非対称ハーフブリッジ型はVin or 0Vに対して、フルブリッジ型はVin or -Vinと倍になっています。出力電圧が2倍になるのも「ふ~~ん。」って感じですね。

はい、本記事は以上です。

誰かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!