【双方向LLCコンバータ】双方向で電圧調整可能なCLLCコンバータについて解説

皆さんお疲れ様です。今日はLLCコンバーターを勉強する記事の第12回目です。どんだけ勉強するんだよ。って話です。

過去のLLCコンバータ関連記事↓

フルブリッジLLCについても以下記事で解説しておりますので、良かったら読んでみて下さい↓。

本記事では、双方向で電圧調整可能なCLLCコンバーターの動作原理と特性について詳しく解説します。

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CLLCコンバータとは?

単方向のLLCコンバータがこんな形です↓。

フルブリッジLLCコンバータ

そして双方向LLCコンバータがこんな形です↓。

双方向フルブリッジLLCコンバータ

以下の記事で動作を説明しています。
【LLCコンバータ】LLCコンバータの双方向動作について

2次側→1次側の伝送時には昇圧が出来ないです。

これに二次側に共振コンデンサと漏れインダクタンスを加えたものがCLLCコンバータです↓。

CLLCコンバータ

CLLCコンバータの特徴

CLLCコンバータは1次側→2次側、2次側→1次側のどちらでも右肩下がりの共振曲線が得られることが大きな特徴です。

こんな感じの曲線が双方向で得られるのが特徴

動かし方はLLCと同じです。

  • 1次側→2次側:Q1とQ4,Q2とQ3がセットでDuty=50%で交互にON/OFFする。
  • 2次側→1次側:Q5とQ8,Q6とQ7がセットでDuty=50%で交互にON/OFFする。

CLLCコンバーターにおいて、LLCコンバーターと同様の共振曲線を維持するためにはLLCコンバータにおける共振コンデンサーCrの値を2倍にし、漏れインダクタンスLrの値を1/2にします。

実際に回路を作って動かしてみる

前回記事で作った双方向フルブリッジLLCコンバータです↓。

検証用の双方向フルブリッジLLCコンバータ(PSIM)

仕様は以下の通りです↓。

パラメータ
入力電圧100V
共振周波数fr100kHz
負荷抵抗10Ω
出力容量1mF
励磁インダクタンスLm600uH
漏れインダクタンスLr100uH
共振コンデンサ25nF
巻き線比 n1:n21:1

巻き線比が1:1ですので、共振周波数frでスイッチングすると100Vを絶縁して、そのまま2次側に持って行っている。という回路です。

これを共振周波数frを100kHzを維持した状態でCLLCコンバータにして行きます。

Lrを1/2にして、2次側にも付けて、Crを2倍にして、2次側も付けたら終わりです。

CLLCコンバータに変換(PSIM)
トランスの設定

Crは25nFだったので、50nFにして、両方につけました。Lrは100uHだったので、50uHにして、両方につけました。

さて、これで共振周波数frでスイッチングさせてみます。まず1次側→2次側の電力伝送です。

シミュレーション結果が以下の通りです↓。

共振電流が綺麗な正弦波になっています。ちゃんと共振周波数がfr=100kHzで維持できています。

次に2次側→1次側への電力伝送です。回路を以下の通りに変化させました。

2次側に電源を持っていきました。

シミュレーション結果が以下の通りです↓。

なぜか出力電圧が少し下がりますが、まぁ共振電流が正弦波で1:1の伝送が出来ています。

つぎにスイッチング周波数fsw=90kHzとして、2次側スイッチをスイッチングします。

frより少し遅い周波数でスイッチングしたときに昇圧動作が出来ているか?を確認します。

出力電圧が150Vくらいに昇圧出来ています。

ちゃんと昇圧出来ています。CLLCコンバータだと双方向LLCで出来なかった電圧調整が出来ますね。

はい、以上で本記事は終わります。誰かの参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!!!