【CLLCコンバータ】LLCとCLLCでは、なぜ出力電圧VSスイッチング周波数の特性が違うのか?

皆さんお疲れ様です。今日はLLCコンバーターを勉強する記事の第13回目です。

過去のLLCコンバータ関連記事↓

フルブリッジLLCについても以下記事で解説しておりますので、良かったら読んでみて下さい↓。

本記事では、CLLCコンバーターの出力電圧VSスイッチング周波数fswの特性がLLCと比べてどうなるのか?それはなぜそうなるのか?ということについて解説したいと思います。

LLCコンバータとは以下の回路のことを指しています↓。

LLCコンバータ回路図

CLLCコンバータとは以下の回路のことを指しています↓。

CLLCコンバータ回路図

また前提条件として、それぞれの共振周波数は同じであり、共振コンデンサと漏れインダクタンスはそれぞれ以下の式で設定していると仮定します。

$$\small{
C_{rprim}=2C_r\\
L_{rprim}=\frac{1}{2}L_r
}$$

CrsecとLrsecは一次側換算したときにCrprimとLrprimと同じ値とします。
(そう設定しないと共振周波数frが一緒にならないですからね。)

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LLCとCLLCの出力電圧VSスイッチング周波数の特性が違うって話

そもそも出力電圧VSスイッチング周波数の特性が違うの?同じにならないの?

と思うかもしれませんが、これが違います。

こんな感じになります↓。

LLCとCLLCの出力電圧曲線のイメージ図

LLCの方がゲインが大きくなります。こりゃなんで?ってなりますよねぇ。ならないですかね。

まぁ考えたら当然っちゃ当然なんです。

以降で説明します。

なぜ出力電圧曲線の特性が変わるのか?

一言でいうなら、fmの周波数が変わるから。です。

いや、そんなのグラフ見たらわかるわ。なんでfmが変わるんだよ。と思われるかもしれません。

まずLLCにおいて、どうやってfmが決まるのかを考えます。

LLCのとき共振回路部を等価回路で描くとこうなります↓。

LLCの共振回路部の等価回路
Cr:共振コンデンサ
Lr:漏れインダクタンス
Lm:励磁インダクタンス

よく参考書とかを見ますね。こんな感じのやつ↑。2次側を1次側にトランスの巻き線比分で換算して1次側に「フンッ!」と持ってきてます。

これが動作中は以下のように電流が流れます↓。

LLCの電流経路

負荷電流がCr,Lrに流れて、励磁電流がCr,Lr,Lmへ流れます。

このトランス等価回路については、この参考書のP34,35でこの辺のことは詳しく書いてあります。

この回路に置いて、負荷電流はCr,Lrで共振し、励磁電流はCr,Lr,Lmで共振することになります。それがfr,fmを決めています。

式にすると以下の通りです↓。

$$\small{
f_r=\frac{1}{2\pi \sqrt{L_rC_r}}\\
f_m=\frac{1}{2\pi \sqrt{(L_r+L_m)C_r}}
}$$

このfmの式を覚えておいてください。これが、LLCの時ですね。

それではCLLCの時を考えます。

CLLCのとき等価回路は以下になります↓。

CLLCの等価回路と電流経路

まず、負荷電流はCr_prim->Lr_prim->Lr_sec->Cr_secと流れていきます。

簡単のために巻き線比が1:1のトランスだと考えましょう。そうすると共振周波数frは

$$\small{
f_r=\frac{1}{2\pi \sqrt{2L_{rprim}\frac{C_{rprim}}{2}}}\\
}$$

となります。
2L_primの項はLr_primとLr_secの合成インダクタンスですが、同じインダクタンス値が直列についているので2倍です。
C_rprim/2の項はCr_primとCr_secの合成容量ですが、同じ容量値が直列に付いているので1/2です。

前提条件で以下なので↓。

$$\small{
C_{rprim}=2C_r\\
L_{rprim}=\frac{1}{2}L_r
}$$

整理すると

$$\small{
f_r=\frac{1}{2\pi \sqrt{L_rC_r}}
}$$

となります。これがCLLCにしたら、Crを2倍にして、Lrを1/2にして両方に置いておけ!って書いてある根拠ですね。

そして今回知りたいのがfmですが、これも励磁電流が流れるのはCr_prim->Lr_prim->Lmと流れます。

なのでfmは

$$\small{
f_m=\frac{1}{2\pi \sqrt{(L_{rprim}+L_m)C_{rprim}}}
}$$

前提条件を入れると以下の通りになります↓。

$$\small{
f_m=\frac{1}{2\pi \sqrt{(\frac{L_r}{2}+L_m)2C_r}}
}$$

先ほどのLLCのfmと比較すると、、、

$$\small{
f_{m(LLC)}=\frac{1}{2\pi \sqrt{(L_r+L_m)C_r}}\\
f_{m(CLLC)}=\frac{1}{2\pi \sqrt{(\frac{L_r}{2}+L_m)2C_r}}
}$$

Lrが微小だとしても、Crが倍違うので、CLLCのfmは低域にずれます。

これが以下のように出力電圧曲線がずれる理由ですね。

はい、本記事は以上になります。

誰かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!!