自作LLCコンバータの設計に挑戦!制御設計編 プラント伝達関数の導出

皆様、お疲れ様です。

LLCコンバータの設計に挑戦中のものです。

これまでの設計経緯

①仕様をとりあえず決めて、色々勉強して定数を設定してみた。→その記事はこちら

②その定数でLTspiceでシミュレーションしてみたが、挙動がおかしくて苦戦。とりあえず動いたがリップル電流がやたらでかい。→その記事はこちら

③仕様を見直した方がいいのかな?と思い始めた。定数を設定の計算をやるのがめんどくさ過ぎて計算シートを作った。→その記事はこちら

④ふわっとした感覚で仕様を緩和して定数を再設定した。→その記事はこちら

これまではパワーデバイス周りをずっと検討していましたが、出力電圧を一定に保つ機能の検討が出来ていませんでした。

今回はLLCコンバータの制御について検討したいと思います。

この記事でわかること

・LLCコンバータのプラント伝達関数のラプラス変換した式

・その式の導出方法

ではやっていきます。

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【結論】こんな感じになりました

$$Gain=\frac{s^2L_p’R_L’}{\frac{R_L’}{C_r}+\frac{L_p’}{C_r}s+s^2(L_sR_L’+sL_p’R_L’)+s^3L_sL_p’}$$

$$L_s=L_r+\frac{L_pL_r}{L_p+L_r}$$

$$L_p’=L_p-\frac{L_pL_r}{L_p+L_r}$$

$$R_L’=\frac{8}{\pi{}^2}*N^2*R_L$$

DCDCにおける制御とは何か

DCDCの役割は一定の電圧を出力することです。

なので

出力電圧>狙い値となったら、出力電圧が小さくなるようにしないといけません。

出力電圧<狙い値となったら、出力電圧が大きくなるようにしないといけません。

だからDCDCは出力電圧をモニターして狙い値との差分を埋めるように動かすことになります。

これがまぁDCDCにおける制御です。

LLCコンバータのプラント伝達関数

定数を決めたときに出てきたGainの式がありました。

$$Gain=\frac{1}{\sqrt{(1+K(1-\frac{1}{F^2}))^2+\frac{1}{Q^2}(F-\frac{1}{F})^2}}$$

これをラプラス変換して周波数解析をしたいと思います。

思いますが、、、

どうラプラス変換したらいいのこれ!!!!????

って思いますね。

まぁ順番に考えていきましょう。

そもそもこの式ってどうやって導出されてるのか?

そもそもこの式はLLCコンバータの等価回路↓から導き出されています。

この等価回路は出力ダイオードが非導通時の等価回路です。

$$L_s=L_r+\frac{L_pL_r}{L_p+L_r}$$

$$L_p’=L_p-\frac{L_pL_r}{L_p+L_r}$$

$$R_L’=\frac{8}{\pi{}^2}*N^2*R_L$$

この等価回路のVoutをガチャガチャ計算していったら、さっきのGainの式が導出されます。

等価回路を簡単にする

立式の時点でラプラス変換して計算してみましょう。

まず等価回路をラプラス変換した形で描いてみます。

なんかvout=の式が書けそうな感じになりました。

sLp’とRL’が並列の抵抗に見えるので、まとめます。

$$\frac{1}{Z_2}=\frac{1}{sL_p’}+\frac{1}{R_L’}$$

$$\frac{1}{Z_2}=\frac{R_L’+sL_p’}{sL_p’R_L’}$$

ひっくり返します。

$$Z_2=\frac{sL_p’R_L’}{R_L’+sL_p’}$$

CrとLsが直列の抵抗に見えるので、まとめます。

$$Z_1=\frac{1}{sC_r}+sL_s$$

こうすると先ほどの等価回路は以下のように書き換えれます。

単純な抵抗分圧になりましたね。

出力の式を立式してひたすら解くべし!!

ではvoutの式を立てましょう。

$$v_{out}=\frac{Z_2}{Z_1+Z_2}v_{in}$$

vout/vinがGainなので

$$Gain=\frac{Z_2}{Z_1+Z_2}$$

はい。もう勝ちですね。あとはZ1とZ2を代入して整理しまくればよいだけです。

$$Gain=\frac{\frac{sL_p’R_L’}{R_L’+sL_p’}}{\frac{1}{sC_r}+sL_s+\frac{sL_p’R_L’}{R_L’+sL_p’}}$$

RL’+sLp’を分母分子に掛けます。

$$Gain=\frac{sL_p’R_L’}{(\frac{1}{sC_r}+sL_s)(R_L’+sL_p’)+sL_p’R_L’}$$

分母を展開します。

$$Gain=\frac{sL_p’R_L’}{\frac{R_L’}{sC_r}+\frac{L_p’}{C_r}+sL_sR_L’+s^2L_sL_p’+sL_p’R_L’}$$

整理します。

$$Gain=\frac{sL_p’R_L’}{\frac{R_L’}{sC_r}+\frac{L_p’}{C_r}+s(L_sR_L’+sL_p’R_L’)+s^2L_sL_p’}$$

sを分母分子に掛けます。

$$Gain=\frac{s^2L_p’R_L’}{\frac{R_L’}{C_r}+\frac{L_p’}{C_r}s+s^2(L_sR_L’+sL_p’R_L’)+s^3L_sL_p’}$$

あ~でけた~。疲れた~。

この式がどんな周波数特性(ボード線図)になるでしょうか。

私にはわかりません!!!

また次回やってみます。

終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!!!