みなさま、お疲れ様です。
本記事は非絶縁降圧スイッチングレギュレータの勉強をしてみよう。という記事の第5回目です。
前回記事では、フィードバック制御をしているから出力電圧が一定になるんだ。という話をしました。
でも「安定性」をちゃんと確保できていないと出力電圧は一定にはなってくれません。
本記事では
・不安定ってどういう状態?どうなってたら安定?どうなってたら不安定?不安定になったらどうなるの?
こんな方に向けて、スイッチングレギュレータの不安定ってどゆこと?をわかりやすく解説してみます。
不安定とはどういう状態なのか
イメージで不安定を説明します。
前回記事でも登場した下のフィードバックをおじさんがフィードバックを帰している図を見てください。
安定しているフィードバックおじさんは適切なスピードで出力電圧の変化を読み取り、DUTYの指示をします。
例えば出力電圧が下がったら、↓このように出力電圧がもとに戻る様に動きます。
ではフィードバックおじさんが出力電圧の変化を読みとるのが遅い場合はどうなるでしょうか。
↓出力電圧が下がってきましたが、不安定おじさんは読み取るのが遅いので、気づいていません。
↓出力電圧がかなり下がってきてようやく気付いてフィードバックをかけます。
↓出力電圧が戻ってきました。本来はDUTYを元に戻さないといけません。でも不安定おじさんは読み取るのが遅いので、気付いてません。
↓出力電圧が狙い値を超えました。でも不安定おじさんは気付きません。
↓出力電圧がかなり大きくなりました。ようやく不安定おじさんが気付きました。
あとは以下同文。ずーっと出力電圧は狙い値付近を超えたり戻ったり、、、を繰り返して安定しません。
わかりやすく言うとこれが不安定という状態です。
じゃあ、どうなってたら安定なのか?を解説します。
安定性はボード線図で判別できる
ボード線図とは横軸を周波数[Hz]に制御系のゲイン[dB]と位相[deg]をプロットしたものです。↓こんなのです。
横軸周波数は出力電圧変動のスピードです。右に行くほど素早い電圧変動になります。
ゲインは出力を戻すパワーを示しています。さしずめフィードバックおじさんの声の大きさです。
位相は出力変動に対するスピードを示しています。さしずめフィードバックおじさんの気付く速さです。
だいたい、周波数が速くなればなるほど位相は遅れていき、ゲインは下がっていきます。
速すぎるとおじさんが付いていけない。みたいなイメージですね。
これは出力電圧の変動スピードが速いと徐々に対応できなくなっていくということを意味しています。
なんとなく感覚に近いですね。
このボード線図から安定しているかどうか?を判定することが出来ます。
詳しくは以下の記事で解説していますので、良かったら読んでみて下さい。
詳しくは↑この記事で書いていますが、ボード線図から読み取れる安定性の指標に「位相余裕度」と「ゲイン余裕度」という指標があります。
位相余裕度:45deg以上、ゲイン余裕度:7dB以上
を確保できていると安定だね。というのが大体の目安です。
本記事は以上です。理解の一助になると幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!