みなさま、お疲れ様です。
本記事は非絶縁降圧スイッチングレギュレータの勉強をしてみよう。という記事の第6回目です。
前回記事でフィードバック制御で出力電圧を一定にしているよ。いい感じにフィードバック制御しないと不安定になるよ。って話をしました。今回は
- 実際どういう風に制御するの?
と疑問をお持ちの方に、どんな制御があるか?を解説して、次の記事で制御系の設計方法について解説しようと思います。
非絶縁降圧スイッチングレギュレータの代表的な制御方法2種類
以下の2つの制御方法があります。
制御 | フィードバック | 特徴 |
---|---|---|
電圧モード制御 | 出力電圧 | LCの2次のポールで位相が180°回転 |
電流モード制御 | 出力電圧+コイル電流 | LCの2次ポールが打ち消されて1次のポールになる |
基礎の基礎が電圧モード制御。その上位互換が電流モード制御です。
電流モード制御は電圧モード制御に比べて動作周波数を上げやすくなったり、位相補償部品の数が減ったり、安定性を取りやすくなったりとメリットが多いです。
電流をフィードバックに入れるだけで特性が改善するなんてすごいっすね。初めて考えた人は天才です。
電圧モード制御とは?
電圧モード制御とは、出力電圧のみをフィードバックします。出力電圧を見て、出力電圧を制御します。発想は単純です。
この回路図のブロック線図は以下のようになります。
VoutをHvで分圧してフィードバックして、Vrefと比較して、差分を位相補償しつつ、PWM波形(≒Duty比)に変換して、LCの主回路にいれて、出力電圧を得ている。って図です。
この電圧モード制御の一巡伝達関数のボード線図(周波数特性)はこんな感じになります↓。
特徴としては出力のLとCの共振周波数1/2π√LCで位相が180°回ってしまいます。
この位相回りを抑えて、安定性を確保するために位相補償が大変になります。一般的にはType3補償器の2つのゼロ点を共振周波数付近に配置して、勢いよく回る位相を抑えて位相余裕度を確保するって感じになります。
考え方は単純なんだけど、位相回りの影響で速い周波数で動かすことが難しいのが電圧モード制御です。
電流モード制御とは?
電流モード制御とは、出力電圧とコイル電流をフィードバックします。
ブロック線図は以下のようになります。
こちらも細かい話は抜きにして、周波数特性はこんな感じになります↓。
一番のポイントはLCの共振周波数が無くなって、1次の極だけになります。これが電流モード制御のすごいところです。
電圧モード制御では2つのゼロ点をぶち込んで頑張っていたのですが、電流モード制御では1次極に1次ゼロ点を当てれば超簡単に制御ループを設計できます。
なんで電流をフィードバックするだけでこんなに劇的に改善するの?
と思うかもしれませんが、それは伝達関数をゴリンゴリン解いて行ったらわかります。
一旦は「ふ~ん。そうなんだ。」くらいの認識で良いと思います。
はい、本記事は以上です。何かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!
次回は電圧モード制御の設計方法について解説してみたいと思います。