【電子回路】単電源オペアンプで負電圧を検出する簡単な方法

みなさま、お疲れ様です。

本記事では単電源オペアンプで負電圧を検出する方法について解説します。

こんな回路で検出できます↓。

なんで検出できるの?抵抗値はどうやって設定したらいいの?を解説してみようと思います。

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【そもそもの話】単電源オペアンプは負電圧を検出できない

こういう風にボルテージフォロワ回路を組んで↓

入力+端子に負電圧を印可すると、出力電圧は追従できません。

青色:入力電圧
赤色:出力電圧

入力電圧が負電圧のとき、出力電圧は追従できずにHigh側に振り切ってます。

単電源オペアンプだからしゃーないです。

でも、負電圧を単電源オペアンプで検出したい!と思ったとき、先ほどの回路を使えば可能になります。

負電圧検出回路の説明

やってることは「抵抗でオペアンプへの入力電圧Vxをオペアンプが動ける正電圧の範囲へ変換してる。」ってだけです。

まず、どう動くのか?のイメージを付けるためにシミュレーション波形の結果を示します。

シミュレーション回路図は以下の通りです。

±5Vの正弦波を入力しています。このR1~R3でオペアンプへの入力電圧Vxを1V~3Vに変換しています。

シミュレーション波形は以下の通りです。

青色:入力電圧(±5V正弦波)
緑色:オペアンプ入力電圧Vx
赤色:オペアンプ出力電圧

いい感じです。負電圧にも追従してボルテージフォロワ出来てます。

でも何でこうなるの?を次に説明します。

動作原理

出力電圧はオペアンプ入力電圧Vxをボルテージフォロワしているだけなので、Vxが何Vになるのか?を考えれば終わりです。

まず各抵抗の電流をI1,I2,I3とします。

キルヒホッフの法則より

$$\small{
I_2=I_1+I_3
}$$

あと普通にオームの法則より

$$\small{
I_1=\frac{Vcc-Vx}{R1}\\
I_2=\frac{Vx}{R2}\\
I_3=\frac{Vin-Vx}{R3}
}$$

これらの連立方程式をVx=の形になるように地道に解いて行くと、、、

$$\small{
Vx=I_2R2\\
Vx=R2(I_1+I_3)\\
Vx=R2\frac{Vcc-Vx}{R1}+R2\frac{Vin-Vx}{R3}\\
Vx=\frac{R2}{R1}Vcc-\frac{R2}{R1}Vx+\frac{R2}{R3}Vin-\frac{R2}{R3}Vx\\
(1+\frac{R2}{R1}+\frac{R2}{R3})Vx=\frac{R2}{R1}Vcc+\frac{R2}{R3}Vin\\
\frac{R1R3+R2R3+R1R2}{R1R3}Vx=\frac{R2}{R1}Vcc+\frac{R2}{R3}Vin\\
Vx=\frac{R2R3}{R1R3+R2R3+R1R2}Vcc+\frac{R1R2}{R1R3+R2R3+R1R2}Vin\\
}$$

この最後の式がVxの値になります。R1=R2に設定すると条件を一個加えると、、、

$$\small{
Vx=\frac{R1R3}{R1R3+R1R3+R1R1}Vcc+\frac{R1R1}{R1R3+R1R3+R1R1}Vin\\
Vx=\frac{R3}{2R3+R1}Vcc+\frac{R1}{2R3+R1}Vin\\
}$$

まぁまぁすっきりしました。Vin=0Vのときは(R3)(2R3+R1)Vccとなります。ここがVxの中点電圧になります。

↓この回路例でいうと、20k/(40k+10k)*5V=2Vが中間点です。

この電圧を中心に(R1)(2R3+R1)で小さくなった入力電圧Vinがプラスマイナスに振れるとなります。

この回路例では
Vin=5Vのとき、Vx=2V+10k/50k*5=3V
Vin=-5Vのとき、Vx=2V+10k/50k*(-5)=1V

と、2Vを中心に±1V振れるというように設定しています。

抵抗値の設定方法

  • オペアンプの入力電圧Vxの最大値、最長値をいくつにするか?を決める。
  • とりあえずR1,R2を適当な値(数10kΩ)に決める。
  • 入力電圧の最大値最小値が入力されたときにVxの最大値最小値を満足するようにR3を調整する。

これだけです。

今回でいえば、
Vx=1~3V以内にしたい。
R1,R2は適当に10kΩに決定。
R3=20kΩにしたら±5V入力してきても、±1Vに収まる。

という感じで設定しています。

はい、そんな感じで本記事は終わります。

誰かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!!