【制御理論基礎】ボード線図を見て安定性を判別出来るようになろう【ナイキストの安定判別法】

皆さん、安定性判別してますか?

本日はフィードバック制御を行っている制御系について簡単にボード線図から安定か不安定か?を判断する方法を解説したいと思います。

とにかく簡単に安定性を判別する方法を知りたい

難しい話は一旦いいからやり方だけ教えてくれ。

という悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

これだけ押さえておけば、とりあえずボード線図描いて安定性判別できます。って記事にしたい所存です。

では、始めます。

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ボード線図を用いた安定性判別方法

手順

手順は以下の通りです。

ボード線図を使ったナイキストの安定判別法手順
  1. 一巡伝達関数のボード線図を描く
  2. ゲイン=0dBとなる周波数で
    • 位相が-180degより上にある:安定!
    • 位相が-180degより下にある:不安定!
  3. 位相=-180degとなる周波数で
    • ゲイン<0dB:安定!
    • ゲイン>0dB:不安定!

安定のときを絵に描くとこんな感じです↓。

逆に不安定のときを絵に描くとこんな感じです↓。

青矢印の「ゲイン=0dBのときの-180degからの位相進み具合」を位相余裕度といいます。
赤矢印を「位相=-180degのときの位相の落ち具合」をゲイン余裕度といいます。

安定性の目安

位相余裕度、ゲイン余裕度は安定性判断の目安になります。

大体、経験的に位相余裕度≧45deg、ゲイン余裕度≧6dBで設計されているのをよく見ますね。

なんで45degなん?なんで6dBなん?というのは正直よくわかりません。

まぁ90°の半分くらいとっとけば色々ばらついても大丈夫でしょ。とか6dB≒2倍だから、倍マージンで6dBくらいありゃいいんじゃない。くらいの経験則じゃないのかなぁと理解しています。

なので、実際に安定性判別するときはボード線図を描いて

「あ~はいはい。位相余裕度〇deg(≧45deg)、ゲイン余裕度〇dB(≧6dB)あるから安定ですね。」

と判断すればいいわけですね。

ちょっと注意点

ちょっと注意点ですが、このボード線図を描くときは一巡伝達関数で描いてくださいね。例えば以下のようなフィードバックがあるような系だと

閉ループ伝達関数は以下のようになりますが、これじゃなくて、

$$G(s)=\frac{G_{plant}(s)G_c(s)}{1+G_{plant}(s)G_c(s)H(s)}$$

一巡伝達関数のこれ↓で描いて判断します。

$$G(s)=G_{plant}(s)G_c(s)H(s)$$

なぜならナイキストの安定判別法がそういう判断方法だからです。(説明になってる?)

具体例

過去記事で昇圧DCDCの回路モデルで制御設計しました。

わちゃわちゃと伝達関数関数を計算して、一巡伝達関数のボード線図を描きました↓。(pythonを使うと伝達関数の計算やボード線図の描くのが超簡単にできます。)

ゲイン=0dBのときの位相(=位相余裕度)は-180degより上にあり、位相=-180degのときのゲイン(=ゲイン余裕度)は0dBより下にあります。

したがって、これは安定と判断できます。

(しかし45deg以上にはなってないし、6dB以上になってないので、ロバスト性の観点からは結構微妙な例です。)

超ざっくりナイキストの安定判別法を解説

そもそもなんでボード線図描いて、位相余裕度とゲイン余裕度を見たら安定性判別出来るんだよ?っというのなんとなくわかった気になる感じに超ざっくり解説してみようと思います。

そもそも安定/不安定って何かというと、、、ざっくり、出力が時間かけて収束したら安定、発散したら不安定です。

結構昔に偉い人たちは伝達関数を調べたら、安定するか?不安定になるか?がわかるぞ!ってことが分かりました。偉い人たちはすごいですよね。

それは伝達関数の極の実部が全部、負だったら安定だ!ってことが分かりました。極の実部が全部負?意味不明ですよね。

例えばさっきのフィードバック系の伝達関数で言えば

$$G(s)=\frac{G_{plant}(s)G_c(s)}{1+G_{plant}(s)G_c(s)H(s)}$$

これ↑の分母=0の解が極です。つまりこれ↓を解いてs=~にして、

$$1+G_{plant}(s)G_c(s)H(s)=0$$

んで、この極を実部と虚部に分けたときに実部部分が負だったら安定だよ!ってのが分かりました。複素平面上でいうと、極が全部左側にいたらOKってことです。

これをもっと視覚的にわかるようにしたのがナイキストさんです。

ωを0->∞まで振った時の一巡伝達関数G(jω)の値を複素平面上に描いていくと大体、こんな感じ↓になるんですが、

ナイキストさんはこの軌跡(ナイキスト軌跡と言ったり、ベクトル軌跡と言います。)を描いて、

  • (Re,Im)=(-1,0)を左に見ながら原点に行く:安定!
  • (Re,Im)=(-1,0)を右に見ながら原点に行く:不安定!

ということを証明しました。絵にするとこんな感じです↓。

これを複素平面上でやらずにボード線図に置き換えると、、、最初の方の話になるんですね。

複素平面上の(-1,0)ってポイントは角度でいうと-180degでゲインにすると|G(s)|=1つまり0dBのポイントですね。

なぜボード線図描いて-180deg、0dBのポイントを見て判断するのか?なんとなーく、わかった気になったでしょうか。

筆者はぶっちゃけ細かい理屈はわかっておりませんが、細かい理屈は偉い人たちが証明してくれています。それを使う庶民としては使い方を知っておけば良いかなと考えています。

はい。今回は以上になります。

お手軽に安定性を判別できるようになったら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!!