【技術書の書評】ソフトスイッチングの基礎から応用まで【☆4】

皆さん、お疲れ様です。

今日は『ソフトスイッチングの基礎から応用まで』という技術書の書評をしてみたいと思います。これです↓。

価格は2750円【税込】です。

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購入の目的

当時は「LLCコンバータわけわからん。」状態で絶望の谷に落ちていたところでした。

とにかくLLCコンバータを理解したい。そう思って購入しました。

良いところ

そもそもソフトスイッチングって何?ってところから説明してくれている

私は降圧DCDC、昇圧DCDCなどをやっただけで、ぶっちゃけ「ソフトスイッチングってなに?」状態でした。

「ソフトスイッチングの定義はこうだよ。」、「ソフトスイッチングにも種類があるんだよ。」、「部分共振ってのが今の主流だよ。」、「部分共振ってのはこうやってソフトスイッチングしてるんだよ。」

と書いてくれてます。

「は~。。。なるほどねぇー。。。」

ってなりました。はい。

多くの種類の共振型コンバータの動作原理が書いてある

アクティブクランプ方式一石フォワード型
位相シフトフルブリッジ方式
非対称制御ハーフブリッジ方式
DAB方式
LLC方式

と他にも複数のDCDCの動作原理が詳しく書いてあります。

各回路方式で、スイッチ素子のON/OFF状態でモード分けして、各モードがどう動いているのか?を解説してくれています。

また過渡的なモード。スイッチがONからOFFへ切り替わる際のスイッチング動作の説明を電流経路込みで解説してくれており、どうやってソフトスイッチングを実現しているか非常に分かりやすいです。

この本を片手にシミュレーション波形を追ってみたら、徐々に回路の動きが把握できていったという感じです。

特にLLCコンバータについてはかなり詳しく書いてある

多数のDCDCについて詳しく説明されていますが、特にLLC方式についてはかなりページ数を使って説明がされています。

私はLLCコンバータの勉強に購入したので、非常にありがたかったです。

LLCコンバータの歴史
基本動作
起動時、過負荷の制御
デッドタイムの影響
フルブリッジ方式
出力電圧範囲の拡張方法
双方向(CLLC)

とね。最初は意味わからんけど、疑問にぶち当たったときに読んでみると理解が深まります。

微妙なところ

回路初心者は門前払い

本書はある程度DCDCコンバータの動きはわかってる人、ましてやインダクタやコンデンサや抵抗の動きは当然わかってる前提で書かれています。

回路の初学者が初めにこれを選んだら、わけわからないと思います。

ソフトスイッチングに特化した書籍と認識したら良いと思います。

まぁ基本から書いてたら、内容が膨大に膨らんでしまいますよね。。。

これを読んでも設計できるようにはならない

残念ながら、この書籍を読んでもすぐに設計できるようにはなりません。

例えば、LLCコンバータに関しては4.2.9節で設計方法について記載されておりますが、正直微妙です。

『漏れインダクタンスLrと共振コンデンサCrの配分は自由に選べる。』と記載されて、配分による特性の傾向も記載されております。3パターンのLr,Crの組み合わせで特性を示されていますが、「え?結局どう考えて設定したらいいの?」ってなってしまいます。

他にも『励磁インダクタンスはなるべく大きくする。』とか。

だいたいこの位を設定するって肌間隔が分かっていない初心者には「え?1mHだと大きいのか?200uHくらいか?結局どうしたらいいの?」ってなってしまいます。

まぁそこは「自分で考えなさいよ。」ってことでしょうね。

まとめ

LLCやDABをやる人にはとても良い本だと思います。

私は本書から学ばせてもらったことは多いです。

☆4としておきます。

☆0:怒りを覚えるレベルで得られるものなし。
☆1:買うんじゃなかった。
☆2:買わんでも良かったけど、まぁいっか。
☆3:まぁまぁところどころ役にたった。
☆4:値段以上の価値あり。買う。
☆5:役に立ち過ぎた。来世でも買う。

悩まれているかたのの参考になれば幸いです。