【電力基礎】皮相電力と有効電力と無効電力と力率の関係

本記事では皮相電力と有効電力と無効電力と力率の関係について解説します。

電験3種の理論ような記事です。

交流回路が初めてで、そこら辺の関係性が分からない方の参考になれば幸いです。

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皮相電力と有効電力と無効電力と力率とは?

皮相電力(S):有効電力と無効電力を合計した電力。要は交流電源から出ていく電力のこと。単位は[V*A]

有効電力(P):回路で消費される電力。単位は[W]

無効電力(Q):回路で消費されずに電源に戻っていく電力。単位は[Var]バール

力率(cosθ):皮相電力の中の有効電力の割合

なぜそれぞれ電力なのにWじゃないのでしょうか。それは単純に足し合わせることが出来ないからです。

皮相電力、有効電力、無効電力の関係を図にすると以下のようになります。

この図からわかるように、皮相電力S,有効電力P,無効電力Q,力率cosθの関係は以下の式となります。

$$\small{
S=\sqrt{P^2+Q^2}\\
cosθ=\frac{P}{S}
}$$

例えば、有効電力80Wで力率が60%の場合は、S=80W/0.6=133.3[V*A]となります。

実際にシミュレーションしてみる

イメージがわかないかもしれないので、シミュレーションしてみます。

全波整流回路にコンデンサと抵抗が負荷についてます。このシミュレーション結果が以下です。

シミュレーション結果
上側:出力電圧と負荷電流
下側:入力電圧(緑)と入力電流(青)

シミュレーション結果の下の方は実効値と平均値の計算結果です。読みづらいので以下に記載します。

AC RMS value of V(vp)-V(vn) is 99.2084 over the range of 0.005 to 0.1
AC RMS value of I(V1) is 0.802177 over the range of 0.005 to 0.1
Average value of V(vout) is 138.845 over the range of 0.005 to 0.1
Average value of I(R1) is 0.138845 over the range of 0.005 to 0.1

入力電圧=100Vrms、入力電流=0.802Arms、出力電圧=138.85V、負荷電流=0.1388A

つまり有効電力、皮相電力は以下の通りに計算できます。

$$\small{
P=138.85*0.1388=19.27[W]
}$$

$$\small{
S=100Vrms*0.802Arms=80.2[V*A]
}$$

この結果から力率は

$$\small{
cosθ=\frac{19.27}{80.2}=0.24
}$$

だいぶ力率が悪いことが分かります。この状態では無駄に入力電流のピーク値が大きくなってしまっている。ということになるので、PFCコンバータが必要になってくるということになります。

以上で本記事は終わります。

最後までお読みいただきありがとうございました!!!