皆様、お疲れ様です。
まずはこちらの回路を見て下さい。
はい、これはチョッパー型降圧コンバータ(非絶縁降圧スイッチングレギュレータ)ですね。(解説記事はこちら。)
では、これは↓?
「えっとぉ、わからん。。。」という方へ向けた記事です。
これも降圧チョッパー回路
実はこれも降圧チョッパー回路です。V4のDuty幅を調整して以下の式で出力電圧が得られます。
$$\small{
出力電圧=Duty*V_{in2}
}$$
このとき出力電圧は電源Vin2基準の電圧です。
普通のやつはGND基準ですが、これは電源基準に変わっただけです。
動作原理
動作解析もふつーの降圧チョッパーと同じように考えたらいいです。つまりスイッチON/OFFのときそれぞれでどう動くか?を検討します。
スイッチONのとき
電流は以下の通り流れます。
電源から電圧が低い方向に電流が流れます。このコイルには
$$\small{
V_L=(V_{in}-V{out})-0
}$$
VL:コイル電圧[V]
Vin:入力電圧[V]
Vout:出力電圧[V]
の電圧がかかります。リップル電流はコイルの式V=Ldi/dtより
$$\small{
ΔIL_{ON}=\frac{V_{in}-V{out}}{L}t_{on}
}$$
ΔILON:スイッチON時のコイルリップル電流[A]
L:コイルのインダクタンス値[H]
ton:スイッチON時間
つづいてスイッチOFF時の動作です。
スイッチOFFのとき
コイルの逆起電力により、ON時に流れていた電流を流し続けようとします。
コイルには
$$\small{
V_L=(V_{in}-V{out})-V_{in}=-V{out}
}$$
の電圧がかかります。
リップル電流はコイルの式V=Ldi/dtより
$$\small{
ΔIL_{OFF}=\frac{-V{out}}{L}t_{off}
}$$
ΔILOFF:スイッチOFF時のコイルリップル電流[A]
toff:スイッチOFF時間
となります。
ONとOFFでΔILは一緒
なので、ΔILONとΔILOFFは足したら0になります。
$$\small{
\frac{V_{in}-V{out}}{L}t_{on}+\frac{-V{out}}{L}t_{off}=0
}$$
tonとtoffはTpwmとDutyを使うと
$$\small{
t_{on}=Duty*T_{pwm}\\
t_{off}=(1-Duty)*T_{pwm}
}$$
Duty:スイッチONの割合[%]
Tpwm:1周期[sec]
となります。これらを代入すると
$$\small{
\frac{V_{in}-V{out}}{L}Duty*T_{pwm}+\frac{-V{out}}{L}(1-Duty)*T_{pwm}=0
}$$
LとTpwmを消して
$$\small{
(V_{in}-V{out})Duty-V{out}(1-Duty)=0
}$$
これをVout=の形に整理すると
$$\small{
V_{out}=Duty*V_{in}
}$$
となります。降圧チョッパーですね。
シミュレーションで動作確認
普通の降圧チョッパーと変化系降圧チョッパーを同じDutyで動かしました。
両方とも12V入力で46%DutyでON/OFFして大体5Vが得られました。
降圧チョッパーですね。
何が嬉しいの?
だからなに?ですよね。
この回路のメリットはスイッチのゲート電圧をGND基準で作れるってところです。
普通の降圧チョッパーだと下図の通り、駆動のためのゲート電圧はVin+ゲート電圧が要ります。
つまり駆動するためには12V+αの電圧が必要です。12Vから作ることを考えると昇圧して、、、ドライバー回路で叩いて、、、と少しめんどいですよね。
その点この回路はGND基準でVgsを与えればいいので、昇圧とか不要です。
そういうところがメリットですね。
はい、まぁそんな感じで、本日は以上となります。
誰かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!