例えばこんな回路があったとします。
馬鹿でかいコンデンサC1(空っぽの電池と想像して下さい。)に電源をバチンと繋げて充電したいと考えたとします。
R1はまぁ配線抵抗的に適当に付けました。
R2はC1の最初の電位を決めるためにものです。気にしないで下さい。
これは当然危険ですね。なぜならバチンと繋げた瞬間にコンデンサに一気に電流が流れこみます。↓
1200Aも流れたら大火事です。配線も焼き切れますね。たぶん。そこで
定電流(数アンペアそこそこ)に抑えたい!
という悩みの解決策を検討します。こういったことでお悩みの方の参考になれば幸いです。
PNP Trと抵抗を用いた回路
シミュレーション結果↓
大体5.2Aくらいの定電流回路になっています。
なぜ定電流になるの?
回路動作を説明します。
まず前提としてダイオードがONして電流を流すとVf電圧が生じます。大体0.6Vくらいです。
この回路が動き始めるとD1、D2のダイオードがONします。そしてPNP Trのベース電圧はVin – Vf – Vfの電圧になります。
PNPのベース電圧が固定されることが味噌ですね。
PNPのエミッタ-ベース間電圧は動作をするとVfが生じます。なので、エミッタ電圧はベース電圧+Vfになります。
となるとR3にかかる電圧はいくらでしょうか?
R3には左側VIN、右側VIN – Vfの電圧なので、R3自身にはVfの電圧の大体0.6Vがかかります。
R3=0.1Ωにしているのでオームの法則で大体6Aくらいですかね。が流れる想定でした。
それに対して5.2AというのはまぁD1、D2のVfとPNPのVfが全く同じではないので、まぁこんなもんかなって感じですね。
制限する電流値は以下の計算式で計算できます。
$$I_{Limit}=\frac{Vf}{R_3}=\frac{0.6}{R_3}$$
設計の留意事項
設計の留意事項を考えてみます。
まずばらつき要素としては以下です。
・ダイオードD1,D2のVf
・PNPのVf
・R3の抵抗値
これらを留意してワースト条件でも最大電流を超えないように設定する必要があります。
温度的には高い方がVfが小さくなるので、電流が小さくなる方向。
低い方がVfが大きくなるので、電流が大きくなる方向。
いずれの場合でもPNP Trが飽和領域で動作していることを確認しとくと良いと思います。
まとめ
本日は簡単に作れる電流制限回路を紹介しました。
PNP Trのベース電圧を固定してやると良いって回路ですね。
もし過電流でお困りの方は検討してみてはいかがでしょうか。
以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。