みなさん、お疲れ様です。コンデンサの式について質問です。
$$Q=CV$$
この式は何を言っている式でしょうか。
「は?コンデンサの公式だろ。物理の授業で習ったわ。何言ってんの?」
と思ってブラウザバックをしようとした方向けの記事となります。
知ってほしいこと
この記事で理解して欲しいことは
・コンデンサの式は「コンデンサに定電流を流したら一定のスピードで電圧が上昇する」という意味
ということです。
Q=CVは電荷の式から電流の式に変換しよう
コンデンサに定電流を流したら一定スピードで電圧が上昇する。ってことを式で示したいと思います。
先ほど出てきたこの式ですね。
$$Q=CV$$
Q:電荷[C]、C:コンデンサ容量値[F]、V:電圧[V]
(電荷の単位がCでコンデンサを表す記号がCってややこしすぎますよね。シャルル・ド・クーロンのせいです。)
Qは電荷です。電流Iとは以下の関係にあります。
$$I(t)=\frac{dQ(t)}{dt}$$
電荷の微分が電流。逆に言うと電流の積分が電荷です。
$$Q(t)=\int I(t)dt$$
積分で書くとこうですね。積分が出てきて嫌かもしれませんが、簡単です。
これを最初の式にあてはめましょう。
$$\int I(t)dt=CV$$
はい。V=の式に直します。
$$V=\frac{1}{C}\int I(t)dt$$
ここで電流を定電流(=一定値)と仮定します。
すると、定数の積分になりますので、単純にtを掛けたものになります。つまり、
$$V=\frac{1}{C}*It$$
はい、この式を見てください。
$$V=\frac{I}{C}t$$
これ。完全にy=axの比例の式ですよね。つまり定電流IをコンデンサCに流したらI/Cの傾きで電圧が上昇していきます。
シミュレーションで確認
四の五の言ってないでシミュレーションで確認しましょう。
1Fのコンデンサに1Aの定電流を流した時にコンデンサの電圧がどうなるかを見てみます。
↓回路図とシミュレーション結果です。
回路図
シミュレーション結果
赤い線が電圧値です。リニアに上昇していっていますね。
そして1秒のときに1Vに到達しています。C=1、I=1のためV = 1/1 tの式に従って電圧が変化していることが確認できました。
電流を2倍にするとV = 2tで変化します。↓
ということで、
$$Q=CV$$
は単純にコンデンサの公式と覚えるのではなく「定電流をコンデンサに流すと電圧が一定スピードで上がることを表している式」と理解しましょう。
応用例
「は?だから?」
と思われる方に応用例を紹介します。
例えば↓これ。ノコギリ状の波形を作る回路です。
定電流で充電して電圧をリニアに上昇させ、
決まった周波数でスイッチをONしてコンデンサに充電された電荷をディスチャージ。
また充電して、ディスチャージして、、、を繰り返すことでノコギリ状の波形を作ったりします。
こういう回路はPWM制御の回路に使用されてます。DCDCのドライバーICのデータシートに”SLOPE”と書かれたブロックがありますよね。それがこんな感じの回路です。
ちなみにこちらの記事でSLOPE回路を自作していますので、良かったら見てみて下さい。
まとめ
ではまとめです。
Q=CVは「コンデンサに定電流を流すと一定スピードで電圧が上昇する」という意味
応用例としてSLOPE回路などがある。
以上です。何かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!