【誰も教えてくれない常識】MOSFETのミラー効果とは?

皆様、お疲れ様です。

ミラー効果?何か心理学用語ですか?

という方に向けて本記事ではMOSFETのミラー効果について解説していきます。

パワエレではMOSFETを駆動するドライバ回路の設計やスルーレートTr/Tfと非常に関係あります。

先に結論を言っておくと、、、

  • MOSFETがONすると寄生容量Cgdが大きく見える現象がミラー効果。
  • MOSFETを駆動するとVgsがVthを超えると一定電圧になる区間がある。これがミラー期間。
  • ミラー期間でスイッチング電圧が上昇していく。このスピードがスルーレート。
  • スルーレートはミラー効果による容量にいくらの電流で充電するかで決定する
スポンサーリンク

ミラー効果とは?

Nch MOSFETがあります。

Nch MOSFET

これには寄生容量が付いてますね。

Nch MOSFET 寄生容量込み

例えばソース接地回路(ソースをGND接続した回路)のCgd(ゲートドレイン間容量)に注目してください。

Cgdがおっきくなっちゃう。それがミラー効果。

MOSFETがON/OFFするときにこの容量値がめっちゃデカく見えるというのがミラー効果です。

は?何それ?何でそんなこと知らんとダメなん???

順番に解説します。

なぜミラー効果が起きるのか?の直感的解説

イメージしやすいようにH-sideとL-sideのMOSFETを交互にON/OFFさせる降圧DCDCを想定します。みんな大好きな回路です。

同期整流型非絶縁降圧スイッチングレギュレータ

H-sideにON信号が来ます。ゲート電圧を0Vから10Vにします。

H-side MOSFETをONする。

すると、当然ですが、MOSFETのスレッショルド電圧Vthを超えたらONします。ONするとH-side MOSFETのソース側の電圧は0Vから電源電圧の100Vに上昇します。

そうなったときにGNDからゲート電圧を見てみましょう。

ゲート電圧は(ソース電圧100V) + (ゲーム-ソース間電圧10V) = 110Vへ持ち上がろうとします。

ONしたらソース電圧が上昇->ゲート電圧も持ち上げられる

そうしようとしたら、物理的にCgdへΔ110V分の電荷をドバっと入れないとゲート電圧は持ち上がらないよ。ってなります。

ゲート電圧が底上げされることでその分のCgdの電荷を埋める電流が流れる。

MOSFETがONする⇒ソース電圧が上がる⇒ゲート電圧が底上げされる⇒その分の電荷がCgdへ流れる。

と一連の流れで実際、これってONした瞬間にCgdがデカくなってるよね?

というのがミラー効果というものです。だからミラー効果の説明を見ると「実効的なCgdが~」と書いてあるんですね。「何だよ実効的なって!」となりますよね。

ミラー効果はスイッチング波形にどう影響するのか?

さっきの回路でH-side MOSFETをONするシーンを細かく描くと以下のようになります。

順番に何が起きているのかを解説します。

まずゲートにON信号が来ます。

これによってゲート端子にはON電圧がかかり、Cgd,Cgsへ充電されてゲート電圧が上昇します↓。

次にゲート電圧がスレッショルド電圧Vthを超えるとドレイン電流が流れ始めます↓。

ONするので、ソース電圧が上昇しようとします。ここでミラー効果が起きます。Cgdへゲート電流が充電されながら、ソース電圧が上昇します。

ソース電圧が上昇しきったら、ミラー効果がなくなり、ゲート電圧が最終値になるまでCgs,Cgdへ充電します。(Vgsが変化するので、Vdsも若干変化します。)

つまりスルーレートをコントロールしようとしたら、このミラー効果によるCgdへ充電する電流を調整してやればいいってことになります。

はい、以上です。何かの参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!!