電子工作する人はおなじみのオペアンプ(OPAMP)。↓これです。
本記事では↓こんな悩みを抱えた人向けの記事です。
・オペアンプがどう動くかわかるけど、なぜそう動くかわからない。
・オペアンプの中身の動きを勉強してみたけど、難しくて心折れた。
本記事では、オペアンプの内部回路と動作原理を数式を一切使用せずに解説してみます。
オペアンプの基本動作
教科書的な説明すると、「入力端子の電圧差を増幅して出力します。」
例えば、入力電圧+の電圧が上昇すると、正の入力電圧差が生じて出力電圧が上がります。
逆にマイナス側の入力が上がると、負の入力電圧差が生じて出力電圧が下がります。
なぜこのように動くのでしょうか?
オペアンプの動作原理を小難しい数式を一切使用せず、説明してみます。
オペアンプ内部回路構成
様々な種類のオペアンプがあると思いますが、今回は最も基本的な2段オペアンプの動きを解説します。
Vin1とVin2が入力端子、Voが出力端子になります。
入力はVin+-とせずに、Vin1,Vin2としました。どっちが+-か考えてみてください。
大前提
オペアンプのMOSは基本的に飽和領域で動作します。だから基本動作を理解する上では、Id-Vds特性の飽和領域部分だけを見ておきましょう。
上図の点線より右側だけを覚えましょう。覚えるポイントはこの2点です。
ゲートソース間電圧Vgsが大きくなると電流Idが大きくなる。
ドレインソース間電圧Vdsが大きくなると電流Idが大きくなる。
この2点から
電流IdがでかくなるときにはVgsかVdsのどっちかが大きくなる。
ということを理解しておけば、完璧です。
入力電圧差が生じていないときの動作を考える
Vin1=Vin2の状態で内部回路はどうなっているかを考えましょう。
動きの順序としては
M1にVgs1に応じた電流が流れる。
↓
M3がM1に流れる電流を流す。
↓
M3,M4で構成されるカレントミラー回路により、M3に流れる電流をM4にコピーする。
↓
M4に流れる電流(=ほぼM1に流れる電流)をM2も流そうとして、Vds2が決定する。(Vgs1=Vgs2なので、Vds1とほぼ同じ電圧になると考えられる。)
↓
M6のVgsが決まるので、M6に流れる電流が大体決まり、その電流が流せるVdsに落ち着き、それが出力電圧となる。
Vin1が大きくなったらどうなるかを考える
Vin1が大きくなったら各部分の電流電圧はどうなったいくか?風が吹いたら桶屋が儲かる的に順番に考えてみましょう。
Vin1がでかくなる。
↓
Vgs1がでかくなる。
↓
M1に流す電流がでかくなる。
↓
M4にでかくなった電流がコピーして流そうとする。
↓
Vgs2は変わらないので、でかい電流を流そうとVds2がでかくなる。
↓
Vgs6が小さくなる。
↓
M6電流が小さくなり、Vds7が小さくなる。
↓
出力電圧Voが下がる。
つまりVin1は「-」入力でした。
Vin2が大きくなったらどうなるかを考える
同じようにVin2が大きくなったときを考えてみます。
Vin2がでかくなる
↓
Vgs2がでかくなる。M2電流をでかくしようとする。
↓
でもM4は定常時と変わらないM1電流をミラーしようとするので、その電流を流す程度にVds2が小さくなる。
↓
Vgs6がでかくなる。
↓
M6電流がでかくなる。
↓
でかくなったM6電流が流せるようにM7のVds7がでかくなる。
↓
出力電圧Voがでかくなる。
つまりVin2は「+」入力でした。
まとめ
今回は2段オペアンプの動作原理を解説しました。MOSの飽和領域での動作を理解したうえで、入力が変化した時に各ノードの電圧、電流がどのように変わっていくか?を順番に追っかけていけば、なんとなくの動作を理解することが出来ると思います。
厳密な動作はおおまかな動作がわかった次のステップで理解していけば良いのではないかなぁと思ってます。
ある程度理解出来たら実際に回路シミュレータでOPアンプを作ってみることをお勧めします。CMOSアナログ回路をシミュレータでやるには下準備が要りますので、以下を読んでみても良いかもしれません。
以上です。参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!!