【EMC】系統電源に接続されたYコンデンサの漏れ電流の計算方法

みなさま、お疲れ様です。

今日はEMCの話についてです。よく見る以下のEMCの回路図のYコンデンサについての話です。

Yコンデンサはコモンモードノイズ対策に入れられます。

今回はこのYコンデンサの漏れ電流の計算方法について解説します。

Yコンデンサの漏れ電流の計算方法が分からねぇ!!

とお悩みの方の参考になれば幸いです。では、始めます。

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【結論】Yコンデンサの漏れ電流の計算式

結論から申し上げると、Yコンデンサーが系統に接続されているとき、漏れ電流は

$$\small{
i_{leak}=2\pi f × V × C
}$$

で計算することができます。

f:系統周波数(50Hz or 60Hz)[Hz]、V:系統電圧[Vrms]、C:Yコンデンサ容量値[F]

このfが60Hzの場合は2πf≒377になりますので、漏れ電流の計算式は

$$\small{
i_{leak}=377 × V × C
}$$

という単純な式で表現することができます。

なんでこんな式になるのか?

続いて、なぜこのような値になるかについて解説しようと思います。

まず系統電源とYコンデンサーが繋がった回路部分だけを抜き出すと、以下の図のような形になります。

これのキャパシタ部分をラプラス変換することによってインピーダンスとして考えることができます。インピーダンスとして考えるとCは1/sCになります。このs=jωのことになるので、インピーダンスとしては1/jωCと考えます。

あとは単純にオームの法則で

$$\small{
i_{leak}=\frac{V}{Z}
}$$

となり、Z=1/jωC=1/2πfCなので

$$\small{
i_{leak}=2\pi f × V × C
}$$

と、この式が導き出されるということになります。

この式は何に使うの?

この式はどのように使うか?と、この式何の意味があるか?ということについてですが、

まず漏れ電流はこの式を見ると明らかなんですが、系統電圧が上がってキャパシタの容量値が大きくなるとどんどん大きくなることがわかります。

漏れ電流っていうのはアースに流れていく電流になりますので、これが大きくなると感電のリスクが高まります。

なので、感電しないように漏れ電流をある程度の値以下に抑えようとしたときの、Yコンデンサの最大容量値が決定することができます。

漏れ電流値からYコンデンサの最大値を計算するというときに、Yコンデンサの容量値をどう決めたらいいんだろうというふうに考えたときに、漏れ電流を何アンペアにしたいからYコンデンサの容量値はこの値にしようというふうに考えるのにこの式を使うことができるということですね。

例えば、漏れ電流を0.5mA以下にしようとしたとします。そして単相100Vがかかるので、

$$\small{
i_{leak}=2\pi f × V × C\\
0.5m=377 × 100 × C\\
C=13.2[nF]
}$$

と。ふんふん。じゃあ、これ以下にしときますか。大体10000pFが上限かな。という感じで辺りが付けられる感じですね。

とまぁ、はい、これで本記事は終わりにします。

誰かの参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!!!